Papa was a charan poran

Poetic running and something

週末ランナーと化してしまった春、制汗剤CM批判

3月25日(日) 晴れ

昨日はイベントで出勤したので走らず、マイクを持って喋った。終わった後は餃子を食べまくった。

さて、久しぶりに今日は天気も良く、花粉も飛びまくっていそうなので、マスクをして走った。結局、花粉症を発症してしまい、アレグラのお世話になっている。

 

今日は暖かいので水が必要になると思い、YURENIKUI PROを装着して出発し、自販機で水を買おうと思って見たら、お腹に動くものが。

 

 

シャクトリムシであった。

 

桜が満開のため、野川の土手の桜のあるところでは花見客が大勢歩いている。

 

 

さすがに走るのもままならないので、野川沿いを逸れて住宅街を走って帰った。

 

3月31日(土) 晴れ

 

まだ桜が咲いている。

4月1日(日) 晴れ

今日あたり、花見の最後のチャンスだろうということで、家族で近所にお花見。

 

4月7日(土)

結局、このところ週末ランナーである。

 

それでも、asicsのライトレーサーの走行距離は700km近くなってきた。私は靴底はあまり変な磨り減り方はしないのでまだまだ履けると思うのだが、見るとアッパーの左の小指のあたりに穴が空いている。

 

このライトレーサーは、悪くはないが、マナバウンスと比べるとどうも私の足と相性が合わない感じでしっくりこないシューズであった。私の足が思い切りギリシャ足なので、中指があたって痛かったということもある。さて、次はどのシューズにしようかな。

 

4月8日(日)

4月14日(土) 

花粉もヒノキ中心になって、やっと私もアレグラなしでなんとか過ごせるようになった。

 

 

このところ、平日は帰りが遅くて疲れ気味である。

朝走ろうかとも思うのだが、仕事が忙しいときは、体力を温存しておきたいという気持ちが働き、仕事前に走る気になれない。悪循環である。

 

4月17日(火) 晴れのち雨

暖かくなってくると変な人が出てくる、とはよく言うが、汗ばむ季節になってくると、電車内で見かけるのが、低俗な消臭ビジネスのCMである。

以前、私は男性の強迫観念を煽って消臭剤を売ろうとする消臭ビジネスが差別を助長する文化破壊行為であるとして批判した。

 

 

charandparand.hatenablog.com

 

そして、昨日(4月16日)、JR中央線の車内モニターで新たに制汗剤のCMを目にして、またこの季節がきたか、とヘドの出る思いであった。

 

見たことない人のためにまず書くが、BANという商品は、脇に塗ることで脇汗を止めるためのものらしい。

www.banbanban.jp

 

あろうことか、このCMに起用されているのは、日テレの「からだWEEK」マネージャーを務めた中村アン氏である。

私はランニング愛好家として、運動と健康美を推奨する中村アン氏の役柄には好感を覚えていたものだが、このBANのCMを見てからというもの、からだWEEKマネージャーも所詮は「お仕事」、上っ面のイメージ作りでしかなかった、という、当たり前といえば当たり前のことを実感してしまい、すっかり興味が失せてしてしまった。

というのも、電車内で放送されるこのCMは、「BAN 汗ブロック」の女性向けと男性向けの商品を続けて宣伝するのだが、女性向けBANが、「汗染みなんか、きにしな〜い!!」「着たい服を着よう」と、ワキ汗を抑えることで女性の解放、自己実現を売りにしているのに対し、男性用BANは、徹頭徹尾、女性(異性)からの視線を価値基準において、思い切りカメラ目線で「ほっとくの?それ」「意外と見られてるよ。」などと煽ることで、脇汗を気にしていない男性にまで強迫観念を植え付けて商品を売りつけようとしているのである。


Ban汗ブロック「着たい服を着よう」篇/15秒/ライオン

 


Ban 汗ブロック 男性用/WEB広告/ライオン


車内CMはこの動画より長いバージョンだった気がする。

 

商品サイトを見ても、女性向けは、女性が自分の汗染みを気にすることが前提となっているのに対して、男性向けBANは、男性が腋の汗染みを気にしていないということを前提として、「女性の約9割が異性のワキ汗ジミを気にしている?こんなときは要注意!」などという見出しで、これまでしっかりと自分の価値観を持って平穏に生きてきた男性に対して劣等感を抱かせ、商品を買わせようと躍起になっている。

www.banbanban.jp

 

また、別のページでは、汗ジミの対概念として「清潔男子」という言葉を度々用いることで、暗に汗ジミを「不潔」であると示唆することも厭わない。

Ban 汗ブロックロールオンプレミアムラベル 男性用 脇汗や汗対策に | 制汗剤デオドラントBan

 

「女性の約9割が異性のワキ汗ジミを気にしている?」などという言葉に騙されてはいけない。それだけでは、どんな女性が、どのように「気にしている」のか、全くわからないではない。

この手のサイトで挙げられている統計は、対象も手法も不明でほとんど検証不可能なものであることが多い。例えば以下のようなところでは、あたかも科学的事実であるかのように装うために注がついている:

 

「女性の89%※1が「異性の汗染み」を気にしているそう。」

注※1 2017年1月 ライオン調べ 汗ジミに関する意識調査

 

「その反対に男性は、「毎日ケアするのは面倒」「脇汗は止められないでしょ」と諦めてしまっている人が少なくありません。」

注※2 2017年3月 ライオン調べ 「ワキの汗やニオイ」の対処として「制汗剤」非使用理由

 

こんなものは、「都民の90パーセントが当店のラーメンは美味しいと言ってます。400人の都民を対象にウチで独自に調べましたから確かです」と言っているようなものだ。その「都民」は全都民からランダムに抽出された都民なのか、店の客が対象なのか、自社の社員が対象なのか、わかったものではない。

中には、自社調べではなく、学術論文を引き合いに出して、男性のほうが汗をかきやすいと述べている箇所もある。

 

「特に男性の方が汗をかきやすい※4ため、頻繁に脇汗が目についてしまいます。」

 

注には「※4 大阪国際大学神戸大学の研究者によって実施された研究発表 「Sex differences in the effects of physical training on sweat gland responses during a graded exercise.」」とある。

 

試しにこの論文を検索してみると、自宅からは記事の要約しか閲覧することができないのだが、簡単に言うと、普段(体を使った)トレーニングを行なっているかによって、運動強度を増した時の汗腺の反応の仕方に男女で違いがあることを検証したものである。私は理系の研究方法に疎いので、37人の被験者を使ったこの実験にどれだけ信憑性があるのか皆目見当がつかないが、少なくともこの要約からわかることは、普段トレーニングをしている男性と女性、そしてトレーニングをしていない男性では、最大酸素摂取量の50〜65パーセントの運動での発汗率は、汗腺ごとの発汗量の増加にのみ依存するのに対し、トレーニングをしていない女性の場合は、汗腺ごとの発汗量に加え、活性化された汗腺の増加に依存するということで、結論として言われていることは、肉体トレーニングは発汗反応を向上させるが、トレーニングによる発汗反応の向上度合いについては男女で差が見られるということらしい。もっと簡単にいうと、運動する人は汗をかきやすくなるが、どれだけかきやすくなるかは男女で差があるということ。

この論文を引き合いに出すまでもなく、スポーツマン体質の人ほど早く汗を掻くというのは昔からわかっていることで、また、女性より男性のほうが汗をかきやすいというのも、多くの人が持っている印象の通りだろう。しかしまた、ランニングをする人ならわかると思うが、運動する人は男女問わず汗を掻くものである。

この論文は、トレーニングによる発汗反応の変化を「改善improve」と表現しているから、汗をかくことに悪い印象を与えているようには見えない。普段運動しない女性が汗を掻くためにはより高い体温や激しい運動を必要とする、と言っているのである。

BANの広告文は、ここから「特に男性の方が汗をかきやすい※4ため、頻繁に脇汗が目についてしまいます。」という主張をひねり出している。間違いではないとはいえ、論文の趣旨とはずれている気がするが、この論文の著者たちは、研究成果がこういう差別的宣伝に利用されることを承知しているのだろうか。それとも、初めからそのような意図で研究をしているのだろうか。

こういう商品を必要としている人もいるだろうから、それが存在すること自体は否定はしない。しかし、汗をかくのは人間の正常な機能によるものであり、また、汗による臭いなどは、持って生まれた体質や持病や居住環境といった致し方ない事情に起因するものもあるだろうに、それに対して「女性の目」を持ち出して否定的な感情を植え付けようとするのは、いかがなものか。BANを使えば、あらゆる男性の汗染みは解消されるとでもいうのだろうか。

こういう宣伝が自分たちの首を締めると言うことが分からないなら、いかがわしい統計なんか作るより、ライオンの社員がどれだけ汗染みを作っているか、全社員を対象に調べてみればよいではないか。自分たちこそ「意外と見られてるよ」と考えるべきだ。

 

一体、いつになったら日本人はこういう幼稚な商売から脱却できるのだろうか。このような宣伝は幼稚なだけでなく、れっきとした文化破壊であって、その行き着くところは、お互いが蔑み合う不幸な社会でしかない。制汗剤や消臭剤を宣伝しまくった挙句、自分が死んで棺桶に入っても家族に「くせえ」と疎まれて消臭剤をかけられるのがオチではないか。

こういうCMが1日も早く無くなって欲しいのはもちろんのこと、売らんかなの精神で世の中を悪くする企業にも消えていただいて一向に構わないと思うのは私だけだろうか。